あずましでお

僕はなぜか北海道に強いコネがあったりする。
その知人が吾妻ひでおについてエントリしているのを見過ごすことはできない。
僕の中の古い血…東海SFの会会員として。

代々木よもやま:■ 教養としての<まんが・アニメ>
 さて、この本、
 「吾妻ひでお」について、1章割り当てられている。<おたく>なるものの起源と書いてある。うっかり「吾妻ひでおが好きだ」などと言えないような気がしてきた。実は、「不条理日記」とか、後世に語り継がれるべき作品は持っていたりする。吾妻ひでおは、北海道浦幌町の出身なので、浦幌町出身の人に「吾妻ひでおは浦幌出身なんですよね」などと言って、「きょとん」とした顔をされたことがある。「誰ですか?」なんて聞き返されて、「まずい話題だったかな」と内心反省したりした。でも、浦幌町の人に会うと、また聞いてしまいそうだ。
 まんがの中に「デレッキ」が登場したりする。

いいトシのまっとうな社会人が「吾妻ひでおが好き」だなんて口にしてはいけない。
ましてや……


「吾妻ひでおは北海道が生んだ一番の偉人ですよね」などと語るなどもってのほかである。せいぜいクラークの次だ。(言うまでも無いがアーサー・C・クラークではなない。もちろんハーラン・エリスンでもない)
水木しげるみたいに「吾妻ひでおロード」を期待するのは難しい。「ななこ」だとか「ぶらっとバニー」だとか「亜素胡素子」や「先輩」が銅像となって浦幌町に並ぶ日を夢見るのは時期尚早というものだ。
ここに書かれる「デレッキ」とは北海道特有のものである。この場面は吾妻の家へ北海道から上京してきた父親が現れる時に手にしているものだ。
石炭ストーブを扱う鉄の棒だが、北海道では子供が一人前になったことを証明するために親が子を打ちのめすための武器としてこれが使われる。つまり通過儀礼の際の神具である。でれっきは、北海道では生命に関わる火の神を御する道具を象徴しており、子が親を見事打ち返すことで、火の管理者の交代を告げ、ひとり立ちを許されるのである。
今ではほとんどが儀礼のみで、札幌などの都会では、神木で作られたでれっきで息子を打擲するしぐさをし、息子がそのでれっきを打ち壊す祭事を成人式に行なうそうだが、未だ奥深い地域ではしばしば大事に至る場合があると聞く。
僕の友人のイカも、この時、眼球破裂の大怪我を負ったと言っていた。
幸いなことに、吾妻は首尾よく対決に勝利している。
実際、このエピソードについてはある雑誌のインタビューで「親父が上京といえば対決するものだ」と答えている。
さて、今、吾妻が何をやっているかといえば…
伝え聞くところによれば、一時は浮浪者をしていたという。
何年か前、公園の水道で体を拭いたりする話がマイナーなエロ雑誌に掲載されていた。
もう10年も前の話だが、リトルメジャーいしかわじゅんに聞いた話では、何度か「逃げた」とのことで、仕事がなくなったという。10年前に、すでに吾妻は過去の人だった。
ある日突然天才になった吾妻は、自分の天才の理由も知らず、書き続けることができなくなったのだ。
吾妻には、今も検索すれば数多くのファンサイトがある。いしかわじゅんより多いかもしれない。
今も吾妻を待つ人々は多い。
近年、また作品を書き始めたという。活躍を祈っている。
僕も吾妻の名前を聞けばこうしてエントリを書かずにはいられないのだ。

1 thought on “あずましでお

  1. いしかわじゅん氏のキャラクタでは、「秋田県山本郡出身だ!」と叫ぶシーンありますね。地元が近いので、ちょっとどきっとします。
    失踪の件は、結構あちこちで書かれてますね。

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