家族って何?-そにょ2-

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まだ見てもいないのに「誰も知らない」について考えさせられています。
いろんな人の映画評や、それに伴う現代の家族のあり方についての意見に釈然としない、喉に小骨がひっかかったような感じを持ってたんですけど。
でね、その喉に引っかかった小骨の正体が朧げながら見えたように感じましたよ。
僕が巡回している「ガン エボリューション」と「Kaoru’s Diary」のお二人のblogで。

adrift:■映画評「誰も知らない」 下
大人や恵まれた環境にいる人間から見たら悲惨と思える状況ですら、子供達は楽しみを見つけて生きていこうとする。そういったことを、演技や描写すべてをひっくるめた演出で見せようとしたのがこの作品だと思う。

そう。子供たちが「楽しみを見つけて生きて」いこうとすること、限られた環境の中で幸せを生み出そうというその努力こそ…
…僕は、決意をもって、やっぱりこれは悲惨な事件だったと言ってしまうべきだと思うんだ。
僕らは麻酔にかかったみたいに幸・不幸さえも相対化してしまって、家族の肖像を失ってしまっている。この事件を絶対的な不幸と言い切れなくなってしまったことに、僕たちの社会の不幸が現れているんじゃないんだろうか……


それはこの主人公の子供たちにしたっておんなじで、彼らだって自分のことを不幸だなんて思っていなかった。自分の不幸にさえ気づいていないから悲惨なんだ。
失われた子供は返って来ない。
失われた生活は返って来ない。
消息がわからない長男は、今はどうしてるんだろう。幸せでいてほしいと思うけれど、とても残念なことに、こうした子供時代を送った人はまっとうな人生を送りにくいことがいろんな例で報告されている。育児放棄や虐待に罪悪感を持たなかったり、歪んだ形で自分の子供に子供時代の復讐をすることがある。謂わば、家族環境の遺伝が起きることが多いんだ。
ここで僕が言いたいのは映画への批評じゃない。(見て無いしね)
こうした映画が作られ、その映画を僕たちがどう捉えるかという「受け手の側への評」なんだよ。
さて、ところがさあ。
Kaoruさんの日記ではこんな家族の情景が描かれています。

Kaoru’s Diary:私有地
「大丈夫よ。ちょっと最近食欲ないけど、あの子は私たち夫婦の夢や希望を背負っているのよ。きっとやってくれるわ。」と、意味のわからん答え。
どっかの駅で似たような広告を目にしたような。
”パパとママは おまえに夢を託す”
ぞーーーーっ!としたのを覚えている。
託された方は溜まったもんじゃないよな。

いや、確かに。Kaoruさん、友達選んだ方がいいよ、なんて思っちゃう。(大きなお世話でしょうから聞き捨て御免)
僕から見るとこうした親子関係は、親が子供を食い物にしてるとしか思えず、怒りさえ感じます。
ただね、こういうのも「家族」としてのある側面なんだろうね。育児放棄との対極にあるところの「家族(子供)との自己同一化と自我肥大」なんだろうね。
多かれ少なかれ家族はこういうのは持ってるのよ。子供のデキが良ければ嬉しいし、オリンピックに出れば応援だってするさー。それが(僕の感覚では)行き過ぎるとこうなっちゃうんだろうね。
いや、じゃあ、もっと親子が自立して、と言い切れればいいんだけどねえ。
僕もねえ。
奥さんに言われるのよ。「アンタっちゅう人は自分のことに夢中で子供のことを考えてない」って。こないだタイプ分析でINTP型と分析された結果

親子関係
子どもの発達にあまり口をはさまない。
  :
だが、ときには、反抗的だったり無関心に見えるときでさえ、子どもは親が別の考え方を押しつけてくれるのを待っていることもあるのだ。
そういう子どもにとっては、「無理やり」とか「押しつけ」といった言葉とは無縁のINTP型の 親を持ったら不運である。

1 thought on “家族って何?-そにょ2-

  1. ああ、そうだ。
    僕らはこうした悲惨な事件の中にちょっとした幸せや慰めを見出そうと一生懸命だ。
    それは、悲惨さから目を背けるズルさなんじゃないか。
    この家庭を糾弾しろなんて言いたい訳じゃない。僕らに何ができたか、これからどうすればいいかを本気で考えなくちゃいけないんじゃないのか。
    「それでも少しは幸せな時期があったんだよ」という慰めや「あの少年は立派だったよ」なんて美談なんかは誤魔化しだ、と言い切ってしまおうよ。そんなもので誤魔化すなんて、僕らは臆病で卑怯だと言い切ってしまおうよ。
    そういう自分たちの弱さと、この悲惨さを受け止めて、こんな世界じゃなくって、もう少しマシな世界を作ろうという決意を持っていこうよ。

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