オタク道けもの道

先日、マンガ評論・「サルでも描けるマンガ教室」の原作でおなじみの編集家:竹熊健太郎さんとカラオケに行ってから、ぼくはしばらく考えていた。

たけくまメモ: 【日記】魔女子とカラオケ
「たけくまメモ」でもよくコメントを書いていただいているnomadさん(左・立っている人)も参加してくださいました。妻子のいる某有名企業のサラリーマンなのにこの日ばかりはオタ丸出しで、ご苦労さまでした。

たけくまさん達とのカラオケはとても楽しかった。腐女子の方々との濃ゆい会話はワクワクした。
しかし、その反面、僕はいたたまれない思いも抱いていた。
たけくまさんは僕と年齢は一歳しか違わないから、僕らは同じ時代の中を過ごして来たはずだ。
たけくまさんは「宇宙戦艦ヤマト」を朗々と歌い上げた。
そして「ヤマト」の衝撃について語った。
僕にもわかる。あのSFが不毛であった時代に颯爽とヤマトが現れた時、僕らオタクの心に走った歓喜が。そして「OUT」でヤマトが特集された時の喜びが。
もちろんOUTは僕も買ったさ…。それは僕にとって新たなサブカルの幕開けだった。
「でもマクロスからはダメなんだよな」
たけくまさんが一つ一つのエピソードを語るたび、僕はその一つ一つに深く共感するのだ。あまりに共感するので、何のリアクションも取れないほどだ。
けれど、こうして同年代のオタクを前にして、僕は自分を振り返ってしまうのだ。
僕はオタクとしてどうなんだ。
我こそはオタクと胸を張って言えるものがあるのか。
……


すまん。
ありまっしぇん。
音楽はYMOからのめりこみ、フュージョン、ジャズ、民族音楽へと行ってキング・サニー・アデなんか最高だー!ってなりましたが、それ以降は離脱しました。
オーディオは聞き比べるのはかなりやりましたが、作るのは他人任せです。
マンガはニューウェーブ専門で、大友克洋を<発見>し、さべあのま、高野文子、ひさうちみちお、宮西計三あたりまで追いかけましたが「漫金超」が休刊してから先はサッパリです。
精神分析から始まり心理学を通り、脳についての所見も最新情報を求めてクオリア界隈に出入りしていますが最近は他人任せにして「なんかいい話なーいー?」と自堕落です。
SFマガジンは読んでいません。以前、絶賛されていた「ハイペリオン」を読んでバカか、と吐き捨てて以来、SF小説を読んでいません。「ブレインヴァレー」もアホかと思ったし。僕は「神鯨」や「ブラッドミュージック」やP・K・ディックのような小説が読みたいんだが、探す努力もしていない。
ディックっぽい匂いがしてジョン・アーヴィングを読んだものの、「サーカスの息子」「未亡人の一年」はガッカリ。
僕のSFは「奇想天外」かせいぜい「SFアドベンチャー」で終わっちゃったのかもしれない。
平井和正に魂を売ったはずだったのに、有料サイトだけで発表とうたわれた小説はチェックしていない。ところで行方不明になってた超デブのリアル犬神明って出てきたの?
スキーだってそこそこやりこんで片足ウェーデルンとか片足回転くらいはできるようになったが、エアーはできない。
合気道は始めたばかり。
バイクは…
ハヤブサにターボをつけたが、キットだしなあ。
たーだキットを買ってきて金にあかせてショップで組むなんてのはシモジモの者がやることで、オタクたるもの、一旦ターボを組むとなればイチから組むべきなのだ。
鋼材から調達し、バーナーで炙ってエキパイを作り、タービンは各種のカタログからチョイスしてボールベアリングの斜流タービン、インタークーラーに追加インジェクター、さらにはインテークマニホールドにウォーターインジェクター!!450psで町乗り可、ってやつをフルコンで、イチからマップを作る。
いや、このコンピュータそのものをイチから組む。HITACHI H8CPUで。
それがオタクの誉れでしょう。
そんなことやる奴は一人もいないって?
だから、やるんでしょうよ。
第一、回路から組んでコンピュータをイチから作った人はいます。
E&Eシステム Freedom Computer
イチからバイクにターボを組んで、挙句にキャブからインジェクションにした人もいます。
ターボ モンキー
このくらいのことをやらんと一人前のオタクとは言えないでしょう。
こういう方々と比べたら、僕なんてオタクと呼ぶにはあまりにおこがましい。
しかも、どうやら僕はここまでのことはできそうもない。
現実的には、プロデュースは自分でやっても加工や組み込みはできないだろうし、コンピュータにしてもマップを作るくらいまでだろう。
*今、俺の目は据わっている。これから先はまっとうな社会人の方は読まない方が良いです

新隼飼育小屋
 ■題名 : 勝敗?
>仮に同じスキルや技量の人がハヤブサとGSX-R1000を峠に持ち込めば勝敗はいわずもがなです。
一般道で、勝ちや負けがあるんですか?

あるさ。
下りの高速コーナー、140km/hで走ってるお前の隣を、青白のバイクがアウトから抜いていく。
お前はコーナー途中のギャップで振られて横っ飛びになり、ラインが30cmもずれて思わずアクセルを戻す。お前は立ち上がりでアクセルを開けるが、脱出速度が違っているので全く歯が立たない。見る見るうちに奴の背中は小さくなっていく。
しばらく走ると、道の駅で休憩している青白のバイク。
お前は近づいていって声をかける。「速いですね」
奴はお前を一瞥する。そして興味なさそうに「別に」と言って飲んでいた缶コーヒーをごみ箱に捨てる。
そして振り返りもせずに自分のバイクにまたがって走り去る。
お前の心の中は「負けた」という気持ちでいっぱいだ。
勝ち負けはタイムや結果が決めるんじゃない。俺の心が決めるのだ。
この文脈で言えば、僕はオタクとして負け犬なのだ。
僕のオタクごころは、出口のないトンネルを彷徨っている。
僕はオタクとして何をなしてきたか。何をなせるのか。
僕は何にこの身を捧げるのか。風よ。心あらば教えてくれ。

5 thoughts on “オタク道けもの道

  1. 気が多すぎるのがオタクとしての負け犬だと思い至る原因かも。
    まぁ、マニアと自認出来るかというまでは至ってないようなので、日常生活に支障はないでしょう。

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