死生観

31歳:ガン漂流  THE CANCER ADRIFT
怒り、絶望、恐怖、悲しみ、そういう要素は全部オレ一人だけで楽しむためにとっておく。勿体なくて、誰とも分かち合いたくない。読者には悪いけど、全部オレ一人だけの領域。
それに今のオレにとってはガン闘病すらも、日常の一部に過ぎない。音楽を聴き、本を読む、映画を見る、人に会う、原稿を書くという生活要素の中に「闘病」っていうのが一つ新たに加わっただけ。何も一日中病気のことを考えて生活している訳ではない。

そうだよなあ、と思う。
僕は彼に全面的に賛成する。「生きていくのは私。死んでいくのは私。私は私が伝えたいように誰かに伝える」
潔いと言っても良いし、私的な出来事を自分以外の必要のために晒す謂れは無いと言ってもいいかもしれない。
僕たちはムラ社会の中で生まれ育って来たから、自分がどう生きてきたか、どう死んでいくかまで誰かの共感を得なくてはならないと思い込んでいるが、そんなものは知ったこっちゃねえ、というのが本当の、自分だけの人生なんだろうと思う。
ああ。もちろん、身近な人には共有できるナニカを伝えますよ。もちろん。もちろん。