執着と愛

スターウォーズを見に行きました。
僕が四半世紀前、夢中になった映画ですが、残念ながら、今日見た映画はそれほどのものではなく。新しい映像も、目新しいドラマもない、ただ円環を閉じるための映画でしたね。
まあハリウッド映画なんだから仕方ないのかもしれないし、この映画に望まれているのはそういう芸術性なんかじゃないのかもしれないけどね。
せめて日本通のスピルバーグとして隠れたメッセージでもあれば、と思いましたが。
「典型的アメリカ人」的な「民主主義に忠誠を」なんてお為ごかしで紋切り型なセリフにむしろびっくりしたくらいで。
実はその裏に隠れたメッセージがあるカモー、なんて思ってるんで、見つけた人はご連絡を。
でー。
アナキン・スカイウォーカーは道ならぬ恋をして父親となり、予知夢で妻であるパドメが死ぬ未来を知り、パドメを失うまいと、悪魔の取引をするわけですが。
まぁ、そのへんの描き方が甘くて、イマイチ悪に堕ちる理由がしっくりこないんですがね。
愛する人を失うと人はヘンになっちゃうのだ、というのはわかります…
僕の従兄弟がそうですしね。
母親を亡くして以来、20年もかけて自分をゆっくり殺していったみたいなもんです。アル中でね。
先日、事故でだんなさんが亡くなった方のお盆にウチの奥さんが行きましたですが、やっぱりヘンだったと。妙なテンションで言葉が届かないような感じ、だったと言います。
なんていうですかねえ。
ゆっくり壊れていくようなもんなんでしょうかねえ。
いつか、治って欲しいですけどねえ。
しかし、失ってしまったものの代わりには僕はなれないんですよね。誰もなれないでしょう。
誰か、他人にできることは、ただ寄り添うしかないんでしょうね。
寄り添う誰かがいれば良いんですけどね。

失ったもののために

僕は、これからもblogは続けて行こうと思う。
blogのおかげで彼に出会えたし、友達になることができた。
きっとまた僕は誰かと出会うことができるだろう。
そして、僕はその誰かに何かを与えることができるかもしれない。
彼に対してはできなかったけれど、今度はきっとできるはずだ。
P.K.ディックの「ヴァリス」の主人公、ホースラヴァー・ファットは「女友達を救おうと間違った考えを持っていた」と冒頭で執拗に描写される。
多分、本当に間違った考えなんだろうと思う。人は誰も救えない。
僕ができることは、そこに彼のためにいることだと思う。
だから、このblogは今まで通り、今までと同じ姿勢で続けていこう。ネタとシャレで続けて行こうと思う。

Cats and Dogs

出張から帰ると悪い知らせが待っていた。
僕の友人が死んだと言う。
自殺だと。
僕は彼とはまだ会ったことが無い。
ネットで知り合って、毎日彼のblogを覗いていて、時々コメントを残していた間柄だ。
こういうのを世間じゃ「ネットを通した希薄な関係」みたいに言うんだろうな、クソ。
ばかやろう、何にもわかっちゃいねえ。
僕は彼のことが好きだった。一度も会ったことなんか無くたって、気が合う友達だった。
近々会おうと思っていた。ゆっくり酒を飲んでくだらないバカ話をして、もっと彼のことを聞こうと思っていた。「知らないから知ろうとした」わけじゃなくて「知ってるからもっと詳しく聞こうとした」んだ。
僕は彼のことが好きだと判ってくれていたと思う。
今度会おうよ、と声だってかけていた。
なんだか具合が悪そうな様子も気がついていた。でも、それもほんの一時のことだと思っていた。そのうち気が晴れることもあると思っていた。
チクショウ。
会えばよかった。
酒を飲んでケイタイの番号を交換して、時々愚にもつかない電話でもするんだ。
むさくるしい男同士で夜中に仕事の愚痴や、女の子の話やテレビ番組について話すんだ。
クソ。もう会えない。
僕は彼の顔も声も話し方も知らない。
もう知ることはできなくなってしまった。
クソ。僕のことは思い出さなかったかな。
僕が会いたいって言ってた事は思い出さなかったかな。
どうして待ってくれなかったんだろう。
待っていて欲しかった。

電車男(ガッカリ)

えー。
きっと何ヶ月かしたら、このタイトルだけじゃ何がおきたのかわかんないと思うのでちょっと書きますとですな。
いま、2ちゃんねるで話題になった「電車男」がテレビドラマ化されてるのですよ。
それを家族で見てるわけですが。
なんでこんな大袈裟な演出をするかねえ。
坦々と進む群像劇にした方がいいじゃん。
皆、キーボード前にして「どっひゃー」「うぎゃぁ!」「むほほーい」とかリアクション取ってる訳?
すまん、俺、今パンツいっちょで背中でテレビ聞きながら黙々とポチポチキーボード打ってるけど。
皆さんはどうですか。
…いや、別に聞きたいわけじゃないです。
饒舌なのはAAとコメントでいいじゃんか。
俺は今日、秋葉原へ仕事で行き、渋谷のハンズへ寄って帰ってきた。
オタクの町とファッションの町ってことですかね。
でも、どっちもどうってことなかったよ。どんな店があるかってだけで、同じ町だよ。
それにさあ。
コゾウどもよ。俺の奥さんよ。
そんなにそのドラマおもしろいか?
オタクを見たきゃ、今、目の前にいるじゃんよ。
電車男が恋愛のために脱オタク化する物語だとしたら、それは俺は激しく否定するぞ。
オタクは「生き方」だ。
オタクはなるものじゃない。オタクは血だ。
オタクが不幸だから恋愛をして幸福になるんだなんてやめてくれよ。
オタクは内的に豊かな生き方なんだよ。
芦屋小雁を知ってるか?
彼は怪奇映画の世界的コレクターで、ビデオは言うに及ばず、フィルムから膨大なコレクションを有していて、毎週のようにマニアを集めて自宅で上映会を開いていたのだ。
ところが、年の離れたアイドル(斉藤とも子)と結婚することになり…
斉藤とも子は小雁のコレクションを全部始末させた。
小雁は脱オタクとして幸せになったと思うか?
世間に誇れる立派な業績を卑俗な価値観で始末させた女が、男心の何がわかるものか。
斉藤とも子が捨てさせたのはコレクションだけじゃない。小雁のプライドも捨てさせてしまったんだよ。
男のプライドはチンコに直結してるんだよ。
オタクがオタクをやめるのは去勢されたのと同じなんだよ。
オタクを好きになる女子よ。
シロウトさんの女子よ。
ノンケの女子よ。
もしオタクとつきあっても、オタク世界はほっといてくれ。いちいちあれこれ言わんでくれ。
こっちも君のコトが好きだから、少しは身奇麗にするから。君のためにパソコンを選んだり組み立てたり設定したりするから。ケイタイの便利な使い方を教えてあげるから。
僕は君の化粧品が何なのか、君の洋服がなんなのかわからないけど、時計やバッグはわかるから。
そんなふうに、お互いを大事にすることが僕たちが分かり合うために必要なことだよね。
僕は君を愛してるよ。Love.

たまにはニュースに反応

多分、何の予備知識もない皆さんにはこれから紹介するニュースを読んでも、どこがどう面白いのか、わかんないでしょうね。
今日のニュース。

Yahoo!ニュース – 読売新聞 – 茨城県警の25歳巡査長、麻薬の「ゴメオ」所持で逮捕

僕は何ヶ月か前、ニュースを見ていると、「新たに法律で規制されることになった」と紹介されている薬物、いわゆる「合法ドラッグ」に見慣れない名前があることに気づきました。ゴメオってやつ。
僕は「脳と心」に関心があって、脳に作用する薬物に興味があったから、新しいドラッグって何なのかすぐに調べました。
…なんてこった!
俺的に言えばモノスゲ、ネタの宝庫じゃんよ!近年まれに見る大ヒットだたよそうだたよ・
茨城県警下妻署生活安全課巡査長の坂本篤史さん(25)は新宿2丁目でゴメオを持ってるところを逮捕されたそうですよ。
このゴメオ、何なのかというと、ゲイのための媚薬なんです。
性感を高め、多幸感、開放感を感じさせ、括約筋を緩める作用があります。
うははははは!
警官にもゲイはいるってことだねえ。日々マッチョなお仕事に精を出して、オフにはマッチョに精を出すわけですね。
ひとしきり笑った後、改めてゴメオ…5Meo-DIPTをググってみた。
…何にも出てこない。
成分も作用規序も、使用上の注意も、僕が何ヶ月か前に調べたサイトが全部消えている。
なんだかゲイの人が気の毒になった。
僕は奥さんに「アンタ、絶対ホモの気あるよ」と決め付けられていて「油断するとホモ」などと言われている。
僕は幸か不幸か同性とはセックスをした経験がないけれど、できるだけ油断しないようにはしている。
自分のジェンダーを信じきるほど世間知らずでも無知でもない。ゲイ雑誌の出版数だけは最低ラインでゲイはいるはずだ。性的にはマイノリティではあるけれど、事象としては世の中にはありふれているってことだ。
僕が油断しないようにしてるのは、それが屈辱だとかそういうことじゃない。もし、コトがおきちゃって、それが思ったより良くてクセになったら取り返しがつかないじゃないか。
ただでさえ取り返しがつかないアレコレがあるのにこの上取り返しがつかないことをしたら本当に取り返しがつかない。
ただでさえ、生き難いゲイの人よ。
ゴメオくらい勘弁してやってもいいんじゃん。

オタク道けもの道

先日、マンガ評論・「サルでも描けるマンガ教室」の原作でおなじみの編集家:竹熊健太郎さんとカラオケに行ってから、ぼくはしばらく考えていた。

たけくまメモ: 【日記】魔女子とカラオケ
「たけくまメモ」でもよくコメントを書いていただいているnomadさん(左・立っている人)も参加してくださいました。妻子のいる某有名企業のサラリーマンなのにこの日ばかりはオタ丸出しで、ご苦労さまでした。

たけくまさん達とのカラオケはとても楽しかった。腐女子の方々との濃ゆい会話はワクワクした。
しかし、その反面、僕はいたたまれない思いも抱いていた。
たけくまさんは僕と年齢は一歳しか違わないから、僕らは同じ時代の中を過ごして来たはずだ。
たけくまさんは「宇宙戦艦ヤマト」を朗々と歌い上げた。
そして「ヤマト」の衝撃について語った。
僕にもわかる。あのSFが不毛であった時代に颯爽とヤマトが現れた時、僕らオタクの心に走った歓喜が。そして「OUT」でヤマトが特集された時の喜びが。
もちろんOUTは僕も買ったさ…。それは僕にとって新たなサブカルの幕開けだった。
「でもマクロスからはダメなんだよな」
たけくまさんが一つ一つのエピソードを語るたび、僕はその一つ一つに深く共感するのだ。あまりに共感するので、何のリアクションも取れないほどだ。
けれど、こうして同年代のオタクを前にして、僕は自分を振り返ってしまうのだ。
僕はオタクとしてどうなんだ。
我こそはオタクと胸を張って言えるものがあるのか。
……

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それでも人生は続く

皆さん、コメントありがとうございます。
お一人づつコメントを返すのはお許し下さい。
期せずしてヘヴィな話題が続いてしまいましたが、生きている間には必ず何かしら起きるできごとなんでしょう。
そういう波をなんとかかんとか乗り越えながら、過ごしていくことにしましょう。
皆さん。
どうぞ、ヘコタレた時にはヘコタレて下さい。弱音を吐いてください。愚痴を言ってください。みっともなく逃げ出してください。
で、そんな時には、僕のコトを思い出してください。「ああ、ヘコタレ仲間がいたっけな」と思ってください。
僕は皆さんのことを友達だと思っています。会ったことがあるとか無いとか、そんなこたぁ関係ないです。僕のblogが面白いと思ってくれてる方、そういう関係は薄っぺらなんかじゃありませんよ。逆に会ったことがあるから、毎日話をしてるからわかりあってるという思い込みが薄っぺらですよ。
僕もヘコタレですから、もし皆さんがヘコタレた時には力になれることはごく僅かです。それでも、皆さんがヘコタレていると思ったら、心配します。心配するくらいはできます。おそるおそる声をかけるくらいはできます。
こころが折れちまった時に、ファイトなんかわかないもんです。
傷の舐めあいだろうがなんだろうが、おとなしくして、日を薬にして鬱鬱と波が通り過ぎるのを待ちましょうよ。
そうすりゃそのうち気も晴れてくることもありますって。
ですからどうぞ。
あっち側には行かないように。せめて片足くらいで引き返して来れるように。
友達の僕からのお願いです。

ヘヴィな話 -2-

吾妻ひでおの「失踪日記」をたけくまメモ経由で買った。
重い話を軽いタッチで描くユーモアの切れの良さは古くからの吾妻ひでおファンとして、本当に楽しめた。
しかし、このゴールデンウィークに浜松に帰ると、ここで紹介されているエピソードの現実を聞くことになった。
アル中の話……

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ヘヴィな話 -1-

ども。
川崎に帰ってまいりました。
浜松ではネタが満載でした。
浜松にいる間中、バイクの塗装でウチからろくすっぽ外出しなかったって言うのに、ネタの方が向こうからやってきました。
ひとつひとつ書いていけばそれなりの分量になり、本来でしたら歓迎する所ですが、ちょっとおなか一杯で消化不良になるような重い話が……

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奥山貴宏氏 死す

小説
死にたくないな。

なんでこう人の死のエントリが続くのか。
奥山氏が死んだ。
実はここ何週間か、奥山氏のblogには行っていなかった。
バイク乗りということでなんとなく共感していて、コメント欄にも何度かコメントしたことがあるのだけど、最近病状が思わしくないらしく、なんだか気が重くて訪れる気にならなかった。
「ツーリングに一緒に行きたい」なんてコメントをしたくせに、どうやらそれがだんだん難しくなって来たのがわかると途端に気後れしてしまったのだ。
僕らはいずれ死んでしまうことに、僕は気づいている。
誰もが無駄な生を生きていて、誰もが意味の無い死を迎えることに気づいている。
しかし、どんなにシニカルな言葉で言い繕っても、少しでも僕に関係した人、猫が失われてしまうと、激しく動揺してしまう。
毎日人は生まれ、毎日人は死んでいく。
僕には沢山の友達がいて、沢山のリスペクトする人がいる。そうした人を失ってしまうのはとても悲しいことだ…